【計算・計画・問題解決(遂行機能)】見通しが立たない、想定外の対応が苦手…。それ認知機能が関係してるかも!
「時間やお金の管理が前より苦手になった気がする」、「予定を立てたはずなのに、うまく進まない」、「仕事でトラブルが起きると、どう対応していいか分からなくなる」そんな経験はありませんか?
もしかすると、認知機能である“計算・計画・問題解決(遂行機能)”が関係しているかもしれません。統合失調症やうつ病などの精神疾患では、気分や意欲の低下とともに、考える力・段取りする力といった認知機能が低下することがあります。
今回のコラムでは、認知機能の中でも、“計算・計画・問題解決(遂行機能)”に焦点を当て、日常生活や仕事での困りごとや工夫についてご紹介します。
<目次>
計算・計画・問題解決(遂行機能)とは
✔計算
✔計画
✔問題解決
日常の中で使う場面
計算・計画・問題解決(遂行機能) × 仕事
まとめ
計算・計画・問題解決(遂行機能)とは
計算・計画・問題解決は、認知機能の中でも応用的な機能にあたり、“遂行機能”とも呼ばれています。
✔計算
数や量、時間、お金を計算する力です。
単に数字を処理するだけでなく、「どれくらい時間がかかるか」「いくら必要か」を見積もる力も含まれます。
✔計画
目標に向けて「何を」「どの順番で」「どのくらいの時間で」行うかを考える力です。
作業の優先順位を決めたり、段取りを立てたりする場面で使われます。
✔問題解決
計画通りに進まなかったときに、別の方法を考えて対応する力です。
状況を整理し、対策を考え、修正する力が求められます。
これらは、注意や記憶などの基礎的な認知機能を土台に働いています。
▼認知機能の種類についてはこちらのコラムをご参照ください。
【認知機能】精神疾患で低下しやすい9つの機能 – 就労移行支援と企業向けメンタルヘルスサービスを提供しています – ワンモア

日常の中で使う場
計算・計画・問題解決(遂行機能)は、私たちの生活のさまざまな場面で使われています。
1.お金の管理 (計算)
◎生活費のやりくり
◎支払い金額の確認
◎予算を考えて買い物をする
2.時間や予定の管理 (計画)
◎朝の身支度から出発までの段取り
◎通院や買い物のスケジュール管理
◎約束の時間に間に合うよう逆算する
3.想定外への対応 (問題解決)
◎予定が変更になったとき
◎忘れ物やトラブルが起きたとき

計算・計画・問題解決(遂行機能) × 仕事
仕事では特に計算・計画・問題解決(遂行機能)が求められます。タスク管理・優先順位の判断・段取りなど、ほとんどの業務が計算・計画・問題解決(遂行機能)と関わっています。ここでは、仕事の中でよくある困りごとと工夫・対策についてご紹介します。
1.締切管理やスケジュール調整が難しい
仕事を進める上で重要な“見通しを立てる力”も計算・計画が必要です。「どの作業にどれくらい時間がかかるか」を把握し、全体を調整することが苦手な方は、スケジュールをあまく見積もってしまう傾向があります。
<工夫・対策>
◎時間は余裕をもって見積もり、周囲の力も借りる
作業時間を正確に見積もることは簡単ではありません。特に初めての業務では、実際より短く見積もってしまうこともあります。あらかじめ余裕を持ったスケジュールを組むことに加え、「この作業はどれくらいかかりそうか」を周囲に聞いてみるのも有効です。自分だけで判断しないことが、無理のない進行につながります。
◎タスクを細かく分けて、“見える化”する
締切管理が苦手な場合、頭の中だけで予定を整理しようとすると負担が大きくなりがちです。紙やアプリにタスクを書き出し、ToDoリストを「大・中・小」に分けたり、付箋を使って並び替えたりすることで、作業全体が視覚的に把握しやすくなります。やるべきことが見えることで、気持ちの焦りも軽減されます。

2.複数の仕事を並行できない
「今やっている作業」と「次にやるべき作業」を行き来する力が求められます。しかし、急な依頼や指示が重なると、頭の中の整理が追いつかず、一つの対応に集中するあまり他の業務を忘れてしまうことがあります。これは能力不足ではなく、情報量が一時的に増えたことで処理が追いついていない状態です。
<工夫・対策>
◎指示はその場で整理し、確認してから動く
上司から複数の指示が続くと、頭の中だけで覚えようとして混乱しやすくなります。指示を受けたら、その場でメモを取り、締切が分からなければメモ横に"?"、重要度が高ければ"◎"をつけるなどを決めておき、「〇〇の締切はいつまでですか?」「この順番で進めようと思うのですが、大丈夫ですか?」と一言確認することで、優先順位のズレを防ぐことができます。自分で抱え込まず、指示を整理して共有することが、落ち着いて仕事を進めるための工夫の一つです。
◎優先順位を「緊急度×重要度」で判断する
アイゼンハワーマトリクス(重要度と緊急度を軸に分類)を使うことで、今やるべきことが明確になります。「すぐに取り組む」「明日に回す」「他の人に頼む」など、自分で判断できるようになります。

3.トラブルや想定外の出来事に対応できない
想定外の依頼やトラブルが起きると、「どうすればいいか分からず固まってしまう」「焦って誤った判断をしてしまう」ことがあります。
<工夫・対策>
◎判断する前に一呼吸おく/すぐに決めず「確認する時間」をつくる
トラブルが起きると、人は無意識のうちに判断を急いでしまう傾向があります。そんな時こそ、すぐに動く前に一度立ち止まり、深呼吸をすることが大切です。数秒でも呼吸を整えることで思考の幅が広がり、冷静な判断につながります。
また、焦りの中でその場しのぎの判断をしてしまうと、後から修正が難しくなることがあります。そんな時は、「一度確認します」「整理してからお伝えします」と言葉にすることで、自分にも周囲にも考える余白をつくることができます。
◎判断を一人で抱え込まない
トラブル対応では「自分で何とかしなければ」と感じやすくなりますが、早めに相談することも大切な対策です。状況を共有することで視点が増え、判断ミスを防ぐことにつながります。
また、考えすぎて行動に移せないこともあるかと思います。そういう場合は、“完璧”より“完了”を意識し、「60点でも終わらせる」ことを目標にして、行動のハードルを下げることがポイントです。

まとめ
今回は「計算・計画・問題解決(遂行機能)」についてご紹介しました。これらの機能は、「できて当たり前」と思われやすい一方で、低下すると生活や仕事に大きな影響が出やすい機能でもあります。
大切なのは、「努力が足りない」と自分を責めることではなく、自分の認知機能の特徴を知り、工夫や支援を取り入れることです。
ワンモアでは、認知機能リハビリテーションを通して、一人ひとりの「働きづらさ」に合わせた支援を行っています。もし一人で悩んでいることがあれば、どうぞお気軽にワンモアへご相談ください。

