コラム:空間認知能力が低いと起こる困りごとと対処法

「最近よく物にぶつかる」「運転が難しくなった」「地図を見ても目的地にたどり着けない」こんな経験はありませんか?
これらは単なる不注意ではなく、認知機能の低下が関係している場合があります。
認知機能は加齢や認知症だけでなく、うつ病・統合失調症・発達障害などの精神疾患でも影響を受けることが知られています。今回はその中でも「空間認知」に注目し、日常生活や仕事で起こりやすい困りごと、そして対処法についてご紹介します。
目次
● 認知機能とは
● 空間認知能力とは
● 日常生活でよくある困りごと
● 就労での困りごと
● 対処法と工夫
● まとめ
認知機能とは
認知機能とは、注意・記憶・遂行機能・言語流暢性など脳の働きの総称です。これらは「仕事を覚える」「指示を理解する」「臨機応変に対応する」など、働く上で欠かせない機能です。精神疾患によって低下することもあり、その影響は日常生活や職場で現れます。
※前回のコラムでは、認知機能の一つである言語流暢性について取り上げました。【言語流暢性】仕事中にとっさに言葉が出てこない。性格ではなく病気のせいかもしれません ―――病気による脳機能の変化とトレーニングで向き合う方法 – 就労移行支援と企業向けメンタルヘルスサービスを提供しています – ワンモア
空間認知能力とは
空間認知とは、「自分と周囲の物や人との位置関係を把握する能力」です。
これがうまく働かないと、距離感がつかめなかったり、方向感覚を失ったりしてしまいます。
日常生活でよくある困りごと
・料理の盛り付けがうまくできない
お皿の大きさと料理の量が合わず、バランスの悪い盛り付けになってしまう。
・車の駐車が苦手になる
車体の大きさや周囲の距離感を把握できず、ぶつけそうになる。

・よく物や人にぶつかる
自分の体と家具・人との距離を正しくつかめず、衝突してしまう。
・地図を見ても目的地に着けない
現在地や目的地との位置関係が分からず、移動に時間がかかる。

就労での困りごと
空間認知能力は仕事でも大切です。特に次のような場面で影響が出やすくなります。
- 調理の仕事:料理を均等に切る、指示通りに盛り付ける
- 運転を伴う仕事:配送や送迎での運転
- 事務作業:三つ折りなどの事務作業。作業を行う際の机上の空間把握
対処法と工夫
空間認知が苦手でも、工夫次第でカバーできます。
- 地図アプリを活用:経路を音声案内に任せる、GPSで地図上での自分の位置を把握する。

- 運転時にカメラやセンサーを活用
- 作業を工夫:大きさが分かりやすい容器を使う、事前にレイアウトを確認する

まずは「自分の得意・不得意を知ること」が大切です。苦手を理解することで、職種や働き方の選択に役立ちます。
・ワンモアでできること
就労移行支援事業所 ワンモア では、NEAR(認知機能リハビリテーション)プログラムを実施しています。
- 認知機能検査で得意・不得意を数値化
- ゲームを通じて改善を目指す、話し合いを通して苦手なことへの対処法を考える
- 自分に合った職種や働き方を一緒に考える
「自分に合った仕事が分からない」「働くことに不安がある」そんな方も、安心してステップアップできます。
まとめ
空間認知をはじめとする認知機能の低下は、日常や仕事に大きな影響を与えます。目に見えない困りごとだからこそ、ひとりで抱え込まず専門的なサポートを受けることが大切です。
就労に向けた準備をしたい方、働くことに不安を感じている方は、ぜひ一度 ワンモアにご相談ください。
