COLUMN
#プログラム #知識

フォーカシング 〜実感を大切にするコツ〜

                    神戸学院大学心理学部  岡村 心平

フォーカシングでセルフケア

フォーカシングは、ジェンドリンという哲学者が開発した心理療法の一種です。ある実証研究で、自分自身の悩みや状況についてのモヤモヤとした「実感」を大切にしながら語る人は、カウンセリングを上手に利用できることが明らかになりました。この実感のことを、「フェルトセンス」と呼びます。フェルトセンスを大切にしながら語るコツを、誰でも学べるように開発されたものが、フォーカシングです。

 フォーカシングは、カウンセリング場面でなくても、セルフケアとして一人でも行うことができます。というのも、実はフェルトセンスは、誰しもが日常生活の中で身近に経験したことのあるものだからです。

モヤモヤの正体

最近の流行語に「モヤる」という言葉がありました。私たちが職場や日常場面で感じるさまざまな「モヤモヤ」は、私たち自身で悩みを解決したり、よりいきいきと生活するためのヒントを与えてくれます。例えば、誰かと会話していて、話題にあがった別の人の名前が思い出せないとき。または、予定を確認していて、誰かと約束をしていると書かれたメモを見つけたのに、何の予定か思い出せないとき。他にも、メールなど文章を作成していて、自分の書いた文面にどうも納得がいかないとき。こんなときに、私たちは何かモヤッとしたものを、喉元や胸、お腹のあたりに感じます。フェルトセンスはこのような「気がかり」や「違和感」に似ています。

 人の名前が出てこないとき、「◯◯さんではなくて、□□さんでもなくて…」と、その人”ではない”ということは確かにわかるものです。これはよく考えると不思議なことです。正解はまだわからないのに、間違っていることはわかる。答えを明確に意識できていなくても、身体レベルではその「答え」がわかっているのです。何か大事な予定があったことも漠然とはわかっているし、このメールの文面だとうまく自分の言いたいことが伝わらないこともよくわかる。いや、わからないんだけど、確かに「これじゃない感」がある。フェルトセンスは、漠然と、悩みの「答え」を知っているのです。

上手に悩むコツ

何かモヤッとするとき、私たちの身体は、私たちに対して何らかのアドバイスをくれている、とフォーカシングでは考えます。自分の悩みや問題について、身体ではどう感じているのか。私たちの身体は、自分でも気がつかないうちに、自分の居心地の良いあり方や解決策を「予感」しています。フォーカシングは、身体的な実感を利用した「上手に悩むコツ」です。フォーカシングは、一般に言われる「物事に集中すること」とは、むしろ真逆のことを大切にします。普段は見落としがちな、自分自身のぼんやりとした気分や感覚に、ゆっくりとピントを合わせていくことを大事にします。

 モヤモヤとした気がかりがあるとき、その感覚を無視するよりも、むしろ関心を持って、「自分ではそのことをどう感じているのか」を探ってみる。何かを始めるとき、誰かに会いにいくとき、どこかへ出かけるとき。その前に、ほんのわずかな時間でも結構ですので、試しにその「実感」に注目してみてください。どんなことに気をつけて、その時間を過ごすのが良さそうかを、私たちの身体は漠然と知っています。その感覚に気がついていることは、私たちの職場や日常生活の中での過ごし方を、少しずつ居心地の良い方向へと変えていくきっかけになるでしょう。

丸

CONTACT

お電話でのお問い合わせ

受付時間:平日10:00~17:30
豊中・
千里中央
06-6852-3007
三宮
078-262-1070
八尾
072-975-5211

メールでのお問い合わせ

詳しいサービス・サポート内容など
お気軽にお問い合わせください。

トリのイラスト トリのイラスト
トリのイラスト
木のイラスト